2013年10月16日水曜日

石田徹也展ノート、夢のしるし  足利市立美術館(918asahi)

 牛井屋での食事を「車の燃料補給に近い」ととらえ、客の口にガソリンの給油ノズルを突っ込む店員を空想。ノートにはそんな絵のアイデアが多く詰まっている−。現代人の悲哀を時に辛辣に、時にユーモラスに措いた石田徹也(1973~2005)。代表作約110点とともに、ノートなどに措かれた石田のアイデアを初公開する。どこかブラックで示唆に富む作品の源泉を、51冊のノートでたどる。(岡山朋代)

●飛べなくなった人(1996年、静岡県立美術館蔵)
 今にも泣き出しそうな表情の男が、飛行機と一体になっている。頭にはプロペラ、両手を広げて離陸態勢をとるも、地面から伸びた金属の支柱と機体がつながっており、飛ぶことはできない。石田のノートによれば、舞台は「とまっているゆうえんち」0遊具として使われなくなった飛行機はペンキがはげており、金属部分もさびている。スーツを着た男は、夢破れたサラリーマンだろうか。「とびたいけど、とんでいけないイメージ(もの悲しい)」と石田もメモに残しているが、「解釈は鑑賞者に委ねられていますし、彼もそう望んでいたようです」と学芸員の福島さんは話す。

 ●飛べなくなった人 アイデアスケッチと下絵(左から、1996年)
 スケッチでは、機体のさびや「真っ崖マ」等、モチーフや場面に関する詳しい設定が残されている0下絵では色をつけ、場面の雰囲気をつかもうとしたという。

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