2013年1月10日木曜日

着彩の歩みと彫刻の今(1114asahi)

 近代以降の彫刻は、ロダンを筆頭に、ブロンズのイメージが強い。しかし一方で、色を施した彫刻も作られ続けてきた。群馬県立館林美術館の「色めく彫刻」展は、その歩みと現状をさぐる内容となっている(12月2日まで)。

 第1室に多く並ぶのは、同館所蔵のフランソワ・ボンボンをはじめとするブロンズの動物や人物の姿だ。黒や深緑、茶色っばいものも加わり、なかなか多彩。神尾玲子・学芸員は「近代以降の流れを見せつつ、彫刻の楽しさに触れてほしい」と企画意図を語る。
 第2室になると、一気にカラフル。近代日本の試みが多数紹介される。安藤緑山は本物と見まがうほどの貝の数々を象牙から彫りだし色をつけている。平櫛田中をはじめとする色鮮やかな木彫の人物像の数々の一方で、新海竹太郎のように女性像に煙るような色彩を
ほどこした作例もある。
 最後に現代の作家たち。前原冬樹は、超絶技巧で茶から空き缶や鍵を彫りだし、油絵の具で本物そっくりに着彩。一方、保井智血員は、乾漆による若小汝性の彫刻に岩絵の具や煉細も使って色と装飾をぼどこしている。伝統的な彫刻や工芸の手法を使いつつ、現代風俗を浮上させている。
 神尾学芸員は「西洋の彫刻はボリュームを重く考える傾向があるが、仏像などの木彫が続いてきた日本では、現代でも木彫に彩色という流れが注目を集めている」と話した。(大西若人)群馬県立館林美術館

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