2012年3月3日土曜日

寝台に浮かぶ生と死(228asahi)

ジャンミシェル・オトニエル展
 色鮮やかなガラスの作品で知られるフランスのジャンミシェル・オトニエルの日本初の回顧展「マイウェイ」が東京・品川の原美術館で開かれている。
                         
オトニエルは1964年生まれ。蜜蝋、硫黄、そしてガラスヘと素材を変えながら制作を続けてきた。可塑性のある素材を好むのは「私自身がつねに新しいものを求めて変化しているから」と話す。
 展示は約60点。夢想を誘う表現とともに、生の諸相を見つめる−斉した姿勢がうかがえる。それを端的に示すのが「私のベッド」=写真、2002年=だろう。
  
 天蓋付きの寝台を模した作品で、高さは3M近い。カラフルなムラーノガラスをつらねた天蓋はロマンチックだが、アルミニウムのリングによる装飾は無機葉でどこか冷ややか。寝台は誕生の場であると同時に愛と生殖の空間でもあり、病や死の床ともなる。その多義性から人間の生と死を浮かび上がらせている。
 ▽3月11日まで。月曜休館。

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