2010年6月6日日曜日

石田徹也没後5年 全作品集(519asahi)


217点、若い心とらえる

 2005年5月23日に踏切事故のため31歳で亡くなった画家石田徹也の没後5年に合わせ、「石田
徹也全作品集」(求龍堂)が出版される。垂兄・銀座のギャラリーQでは回顧展も開催中だ。死後により広く知られるようになった石田の作品は、今も多くの人々の心をとらえている。
石田の作品集としては、一周忌を機に自費出版に近い形で出版された「石田徹也遺作集」(求龍堂)がある。この刊行をきっかけにNHKが石田の特集番組を作り、人気に火がついた。
 遺作集はこれまでに3万3千部が発行された。遺作集と全作品集を担当する求龍堂の清水恭子さんは「遺作集への掲載は99点。作品の半分は載せられなかったので、いずれ全作品集を出したいと考えていた」と話す。
 全作品集には217点を収録した。色調を正確に再現するために、現物があるものはポジフィル
ムで撮影し直した。さらに遺品の中から、ネガフィルムにあった10点、写真で残る3点、スケッチブックの10点を加えた。作品は時系列に並べた。制作は1995年から10年ほどなのに、217点の大部分が大きな絵画作品。石田の多作ぶりがよく分かる。また、代表作の一つ「飛べなくなった人」をはじめ、似たような題材を繰り返し措いたものも多い。

 ギャラリーQで開催中の「石田徹也全集」展では12点が展示中。頭や上半身が荷造りされた「配達」は、没後初めての公開だ。生前の石田を知る同ギャラリの上田雄三さんは「石田の絵には、不満や不安、孤独といった日本人の闇がある。それが、特にロストジェネレーションを始めとする若い世代の心を今もとらえるのだろう」と話した。 (西田健作)
 ▽全作品集はA4変型判で8925円。個展は29日まで、東京都中央区銀座1の14の12、23日休み。

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