2010年5月11日火曜日

映画「宮廷画家ゴヤは見た」


 画家をモチーフとした映画というのも沢山ありますが、自分も一応は絵の世界に身を置いていることもあってか、どうも別の映画とはまた違うちょっとした親近感らしきものを勝手に抱いてしまったりしていますが、この画家をモチーフにした映画というのは総じて所謂「ハズレ」が多いという評判がどことなくある気がします。

そんな中でこの映画「宮廷画家ゴヤは見た」であります。
これはなかなかどうして面白い作品でございました。

 この映画まず画家のゴヤを題材にしていると思いきや、題名をよくよく読んでみるとその通りであるように、いってしまえば主役はゴヤではなく、あくまでゴヤが見ていたものに焦点があっているのです。
 もちろんゴヤも出てくるのですが、ゴヤという人はこんな人だったというような内容ではありません。ゴヤが生きた当時のスペインでは何が起きていたのか、そして、その当時のスペインに生きた人たちはどんな現実を見ていたのか、そんなところがこの映画の題材になっているようです。

 この映画にはどこから湧いているのかよくわからない異常な程のリアリティというものがあります。こういった昔のヨーロッパを題材にしている映画は沢山ありますが、その中でもこれはちょっと異例という感じで、何でこの映画はこんなにもリアリティがあるのか不思議に思う位でした。
 大抵は中世の町並みなどが出てくれば、かっこいいな~とか何とか思って眺めていますが、どっこいこの映画はそんな観光旅行気分をはね除ける重みがあります。
美しい町並みに「この石畳には数多くの人間の不条理な死によって流れた血が染み込んでいるのだ」そんなことを考えずにはいられない。そんな重みがあります。

 ヒロイン(?)にかのナタリー・ポートマンが出ていますが、彼女がなかなかショッキングな変貌を見せてくれます。そこも見所でしょう(その状態は直視できないものがありますが)。

この「画家映画」は「アタリ」のようです。

機会があればどうぞ。

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